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素敵で、しかも安そうな店だとしたら、あまり出歩かない主婦には、目新しい情報となるのではないだろうか。 生保会社では生保レディーに「新しい保障サービスができました」とか、「貸金を利用して下さい」といった情報提供をするように指導している。
上手な生保レディーはそれを情報に仕立てて、訪問シールにしている。 保険会社から情報発信するのも、保険セールスマンとしては大切な仕事である。
顧客が受けられるべき情報を知らなくて、損をするケースも結構あるからだ。 私の同僚の生保レディーに聞いた話だが、彼女が顧客から「生命保険から貸し付けを受けているお金が返済できないので解約したい」という申し入れを受けたという。
いろいろ話し合ったがよい解決法がなく、しかたなく解約の手続きをすることになった。 数日後手続きに訪問したら、「解約せずに、この保険を下取りしてもらって、新しい保険に入りなおすと、貸金は返済したかたちとなり、保障もつけられるということを他の保険会社の生保レディーから聞いた」といわれた。
私の同僚の生保レディーは「ギクッ」とした。 最近研修でそんな手法を習ったと思い出した。

もう少しで解約させて、顧客に大きな損をさせるところだった。 他社の生保レディーが情報を与えてくれたことに感謝したという。
彼女はこれをお客さまには価値のある情報だと気づき、訪問しやすくする話題として活用しだした。 現在加入しているお客さまに、新しい保険が出ることを勧誘として話すのではなく、セールスマンが提供する情報として話すことにした。
勧める口調と情報として話す口調とでは異なるので、顧客のところへ行くたびに保険の話をしても素直に聞いてもらえるようになり、訪問しやすくなったと話していた。 阪神大震災以後も全国で比較的大きな地震が続発しているが、地震保険についてはまだまだ十分に知られていない。
しかし、情報として話すべきだと思う。 切り込みのための話題にもなる。
損保代理店も提供すべき情報はたくさんある、最近は地域でスポーツ大会や演奏会などのイベント活動も多いので、そういう催しで発生する事故に対する賠償保険も話題の一つにはなる。 こういう素人にあまり知られていない部分の保険の話は、話題提供、情報活動となり、将来の保険に結びついていくことにもなる。
私も実は昨年素人芝居の公演をプロデュースしたが、そのとき事故が心配になり、思い出してあわてて賠償保険に加入した。 そのときの素人芝居関係者は、そんな保険のあることは知らなかったし、保険が必要なことも意識をしていなかったという。
同じ劇場で今年は別の人がプロデュースするが、私の話を間接的に聞いて、保険をつけるらしい。 損保代理店もこれからは年に一度の更改時に訪問するだけでは足りない。
もっと顧客と接触して「情報、知恵」を貸すことである。 そうして直接の効果を期待せずに話しているうちに、孫のためにと新しい保険に加入してもらえたり、友人にぴったりだと紹介してもらえるようにもなってきたらしい。

私も顧客に「Hさんは保険を勧めないのはありがたいが、情報としてもっと新しい保険の動きについて話してよ」と叱られたことがある。 生保レディーには、毎月の集金のたびにポケットテッシュなどほんのちょっとした品を持っていく人が結構いる。
私が生保のセールスマンになりたての頃、「そんなつまらない物を、毎度毎度持っていっても、何の効果もない」と笑ったら、Hさんはまだ女性の心理がわかってないと、半分叱られるように笑われた。 女性たちは男性よりよく贈り物をする。
女性は贈り物をもらうのが好きである。 自分が贈り物をもらうと嬉しいのだから、他人にとっても人間関係をつなぐよいシールになることを知って男性だって本音はちょっとした贈り物であっても、もらうのは好きである。
そういえばバブルの頃によく見たが、高級クラブのホステスたちも月末の集金にはケーキの箱をかかえて現れたものである。 大きな贈り物は負担を感じたり、相手の下心を心配したりして受け取りにくいが、小さな贈り物なら素直にありがたく受け取れる。
一度や二度の小さな贈り物では効果はないが、小さな贈り物も積み重ねると親近感を育ててくれるものである。 昔、私が公務員になったときコーヒー一杯が汚職の源」と研修で教育された。
初めにコーヒー一杯ぐらいという軽い気持ちでご馳走になると、次にはおごり返す。 三度のうち一度はおごり返すことにすれば負担感がなくなり、親しみを感じ出して次第に公私の関係があいまいになってくる。
昼食だとか、ちょっとした贈り物も受け取るようになる。 ここから深みにはまっていくので、コーヒー一杯をご馳走になることも十分注意するようにと、研修の講師は注意した。
汚職の新聞記事を読むと、その経過がコーヒー一杯で始まっていることがよくわかる。 逆にいえばこの手法は、汚職と関係のないセールスマンにとって、人間関係を築くのに有効であることが証明されている手法だといえる。

さすが生保レディーは、女性の心理をつかんでいる。 損保で大きな部分を占めている自動車保険は、まだまだ男性が主たる契約者であり、火災保険も契約者の大部分は男性である。
もちろん集金にうかがうと奥さんと話す機会も多いが、そのときは販売対象として力を入れて会話をしているわけでない。 たいていは世間話に終わっている。
しかし、女性は保険セールスでは、まだ残されている大きな市場なのである。 女性を上手に説得する技術を持つ保険セールスマンが、これからは伸びていくのである。
たいていの日本の家庭は主婦が財布を握っている。 日常的な支出のほとんどの部分は主婦が決めている。
もちろん大きな契約は主婦だけで決められない。 しかし主人男性も自分の意思だけでは決められないのが実情である。
つい先日も、「Hさん、退職してリスクマネージメントの仕事を始めたんやて、保険のことについて相談したいねん」という電話が入り、相談に乗った。 リスクマネージメントとして損保・生保を組み合わせて考え、会社として役員保険と、家族の財布を握っている。
その上に防衛本能も強い。 被害を恐れる意識は男性より一段と強い。
うまくニーズを喚起すればよい市場となる。 最近は女性にも個人年金など生保が浸透しだした。

家庭訪問セールスとなると、説得対象者は女性となる。 男性市場の普及してしまった昨今、上手に女性の心をとらえられないセールスマンは成績上昇は望めない。
動きだしたとはいえ、女性の加入率はまだまだ低い。 男性を対象にするより需要の余力がある。
女性市場への販売をめざすなら、女性のニーズをつかまなくてならない。 女性の大きな関心事は「高齢化社会老後問題、環境問題と健康志向」である。
一方、男性の生保ニーズは、自分の死後の家族の生活防衛である「遺族の生活保障」が主軸だが、女性にとっては「遺族保障」は大きなニーズではない。 女性は自分の死後の問題ではなく「いま生きている日常生活で発生する傷病などからの生活防衛と、長くなった老後生活の守り」である。
生活保障のための保険の二本立てでプランニングした。 それで決まりとなるはずだったが、「自宅に行って、家内に説明してえなぁ、財布は家内が握っているさかいな」と社長がいったのである。
若手ながら、会社ではワンマンで何でも押し通す社長ですら、支出には奥さんの了解が必要なのである。

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